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第4回 資本論(その1)

皆さま、こんにちは。

今回は、地方公営企業における資本金とは何か、ということについての序論を、主に下水道事業に焦点を当てて記載します。

 

昨今の地方公営企業法(以下「法」という。)適用において、一般会計繰入金を補助金と出資金に区分される団体も多いところと認識しています。

出資金として繰り入れると消費税の申告納税額にも影響を与えますので、資本金とは何かを適法に解釈したうえで出資金とするか、補助金とするかを決定しなければなりません。

 

まず、検討しなければならないのが、「地方公営企業法逐条解説」(関根則之著)ですね。

 

158頁以下で、資本金の役割を次のように記載しています。

民間会社に見られる一般的な資本金の役割としては、①会社の経営成績を判定する上での基準となる一定の数額、②負債に対する担保、③経営の弾力性確保ですが、地方公営企業では、②の役割は果たさない、ということです。

また、法上の資本金の定義は明らかにされておらず、同法施行令や地方公営企業資産再評価規則において会計整理の面からの規定があるにすぎず、解釈が必要な旨が示唆されています。

 

そして、同書では、法第18条第2項の記載に触れて、③の面からは、出資には基本的に配当を考慮するべきものであることも述べられています。

この観点からは、一般的に利益が出ない下水道事業に対しての出資は成立するのか、という疑問が出てきます。

この疑問は、出資の取り扱いに関する大きな論点の一つとなります。

 

この論点に対する帰結を導く手がかりとして、同書161頁に「地方公営企業においても常に当初の資本が維持されることが最小限に必要であ」る、との言及があり、これが出資の取り扱いに関する大きな解釈指針になると考えられます。

 

出資を受けることを検討されている各公営企業におかれましては、上記の解釈指針等に沿って、出資として取り扱うことが公営企業法令に沿った適切なものであるのかを明らかにしておく必要があることに留意が必要です。

 

さらに、出資を用いる場合、消費税申告にあたって、法における出資と消費税法令等における出資の概念が異なるかどうか、についても検討が必要となります。

 

(余談ではありますが、題名につきまして、古典派経済学は興味深い理論ですが、私は特にマルクス主義者でもございません。)

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