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第5回 資本論(その2)

皆さん、こんにちは。

前回、公営企業の出資とはどのようなものかについて検討をしてきました。

 

今回は、なぜ公営企業法の出資に該当しなければ、税務上の出資として認められない可能性があるのか、を考えてみましょう。

一見、当たり前とも思われますが、いわゆる取引自由の原則がある中で、首長部局と公営企業がどのような取引形態を選択しようが自由ではないか、という反論があり得ます。

 

これについては、租税判例百選(第6版 有斐閣)の第17事件が解釈の方針を導いてくれます。

(東京高裁平成11年6月21日判決)

キーポイントとなる部分を引用します。

 

「いわゆる租税法律主義の下においては、法律の根拠なしに、当事者の選択した法形式を通常用いられる法形式に引き直し、それに対応する課税要件が充足されたものとして取り扱う権限が課税庁に認められているものではない」

 

課税庁は、法律の根拠なしには、課税事業者が申告した法形式上の取引形態を、税務実態に沿っていると判断する取引形態に変更することはできない、ということです。

裏を返せば、法律の根拠をしっかりと検討せずに曖昧に出資として税務申告した取引については、法律の根拠を以って出資という取引形態が否定され、課税関係に影響を及ぼすことがある、ということになりますね。

この点について、十分にご留意ください。

 

以上のように、公営企業はその会計運用において、形式的な会計的側面の判断だけではなく、実体法・訴訟法上の事業内容を考慮する必要があります。

と申しますのも、総務省の会計分野におけるQA等も法令・判例を斟酌した内容となっているからです。

 

時間の制約等で難しいところではありますが、判例やその他の参考図書(地方公営企業ハンドブックや実務提要等)の知識を蓄積し、公営企業に関する法律の理解を深めつつ、会計業務に取り組まれるとより発展的な会計運用が可能になると考えられます。

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