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給水義務の考え方

経営戦略の策定支援等において、給水停止が許されるのか、についてその考え方の質問を受けることがしばしばあります。

少し長くなりますが、次のような考え方になります。

 

まず、一つの有名な判例を紹介します。

 

最高裁平成11年1月21日第一小法廷判決の要旨(有斐閣 地方自治判例百選第4版 43事件等参照)

水道水は国民にとって欠くことができないもので、市町村は水道事業の経営にあたり、当該地域の自然的社会的諸条件に応じて、可能な限り水道水の需要を賄うことができるようにしなければならない。

水は、限られた資源ではあるが、供給計画によって中長期的な計画の下、給水申込みにできる限り対応すべきものである。

ただし、この義務は絶対的なものではなく、適切な給水計画によっても供給が難しい場合(大規模マンションが許可なく建てられた場合等)には、給水できない正当な理由として扱うことができる。

 

当該判例は、給水は国民の生命等に関わる重要なものであり、水資源の限度までは提供しなさい、ということが含意されている判例と解されます。

この考え方は広く浸透しており、給水停止をしてはならないのではないか、という疑問が生じます。

 

しかし、給水開始後の実務では、水道の利用者が支払をしない場合には、水道法第15条第3項で給水を停止することができます。

「水道事業者は、当該水道により給水を受ける者が料金を支払わないとき、…、その者に対する給水を停止することができる。」

 

一見、上記判例と考え方が相違しているようにも見られますが、そうではありません。

給水停止は、給水の拒否ではなく、一時的な停止であり給水義務は満たしている、という解釈をすることになります。

 

そして、給水停止で生命等が脅かされるケースは、給水義務の論点ではなく、債務超過等の生活困窮的な論点になります。

法律上は、水道法等の公営企業事務の範疇ではなく、福祉関係の事務において対応されるべき事項と解されます。

 

ただし、一方的に福祉事務として対応を依頼するのではなく、部署間で連携を行いながら解決方法を探ることになると考えられます。

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