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第10回 旧高根町判決と減損規定の関係

皆さま、こんにちは。

今回は、地方公営企業に関する判例の中で有名な旧高根町給水条例無効等確認事件と減損規定の関係を検討しましょう。

実体法と会計の関係をどう考えるか、という良い素材です。

 

この判決は、訴えの利益といった内容に焦点が当てられますが、今回検討するはそのような複雑な論点ではなく、水道料金の統一化、ということについて考えます。

 

具体的には、①水道料金は、同一公営企業内では統一すべきである、という考え方が一般的ではありますが、裁判所の法解釈としてもそうなのでしょうか、また、②地方公営企業法令等はこの点についてどのような認識を有していると推察されるのか、という検討です。

 

旧高根町の判決文では、次のような事項が述べています。

「公営企業として営まれる水道事業において水道使用の対価である水道料金は原則として当該給水に要する個別原価に基づいて設定されるべきものであ」る。

 

この判決文を見ると、①裁判所の見解としては、水道料金は同一企業内で必ずしも統一しなくて良さそうにも読めますし、文言から判断すれば、実際かなり個別原価が異なるのであれば、個別原価設定も可能ではないかと考えられます。

 

この点について、地方公営企業法令等の考え方を探るためには、減損の規定を検討することになります。

水道事業の減損は、原則として事業全体で判定し、個別資産又は小規模資産グループのレベルで判定するのは遊休資産等との考え方になっています。

この考え方は、水道事業としての個別原価は事業全体としての原価に等しい、との考え方に基づくことになり、②原則として同一企業内の水道料金は統一されるべきものと地方公営企業法令等は判断している、と考えられます(私見として、実体法と会計の規定の統一を図っての規定であると推測しております)。

 

このように、地方公営企業法令規則、よるべき指針及びQA等は、会計上の取り扱いだけでなく、いろいろな判例や法令解釈を踏まえて作成されていると考えられます。

他の規定にもそのようなことをうかがわせる内容が随所に見られますので、気になった点を丁寧に解決していくと、単なる会計実務だけではなく、各企業における繰出基準の運用判断等にも合理的な示唆をもたらしてくれる良い素材となります。

 

(参考リンク)裁判所HP 旧高根町給水条例事件判決

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=33325

 

 

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