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物理的な緊急対応に関する検討

皆さま、こんにちは。

 

3月はなかなかコラムを書く時間がありませんで、これから益々そのようになりそうなので、1つ何か記載してみようと思ったのですが、あまり書きたいことがありません。

 

色々考えていると、以前、不法工作物の撤去について頭を悩ませていらっしゃる方がいまして、何か参考になる考え方は無いかとご相談をいただいたことを思い出しました。

 

そのような時に参考になりそうな一つの有名な判例を紹介したいと思います。

 

ということで、今回は、地方公務員試験の行政法科目で最も有名な判例の1つである最高裁平成3年3月8日第二小法廷判決(地方自治判例百選(第4版:有斐閣)45事件)の説明を記載しようと思います。

 

ずいぶん前ですが、浦安ヨット係留杭事件、といった名称の事件として、公務員試験の予備校で学習した記憶があります。

 

何かと申しますと、千葉県浦安町(当時)が実質的に維持管理してきた港湾内に(法律上の管理者は千葉県知事)、ヨットの係留施設として長さ10~12mの鉄道レールが約15mの間隔で約100本、全長750mにわたり打ち込まれた、というとんでもない事件です。

 

打ち込んだ者に漁港の法律上の管理者を通じて撤去を求めたものの、一向に言うことを聞かなかったため、浦安町が行政代執行として工事業者に発注し、物理的に撤去をしました(工事費約135万円、うち5万円程度が職員の時間外手当)。

 

この撤去について、浦安町の住民から、法律に基づかない違法な行為であり町長は浦安町に損害を与えたものとしてその填補賠償を求められた、という事案です(住民訴訟)。

 

結論は、次のようになっています。

 

①本件杭の撤去は違法な行為であり適法性を肯定する余地はないものの、②撤去しても杭自体の財産的価値は損なわれない、③撤去しなければ航行において住民の危難が生じないとは必ずしも保障し難い状況であった、という理由から、やむを得ない行為であったと評価できる。

 

そして、漁港法及び行政代執行法上適法とは認められないが、やむを得ない措置であり、④民法第720条の法意に照らしても、本件杭の撤去に要した経費の支出を容認すべきものであり、公金支出については違法性を肯認することができず、町長は浦安町に対して損害賠償責任を負わない、と結論付けられました。

 

ア)撤去行為自体は違法であるが、イ)公金支出については違法ではない。

 

中々解釈が難しいところですが、結論としては妥当と思われます。

ご興味があれば、皆さま各人でその理由を考えてみてください。

 

追伸:本当は株価が上下しているので、ストキャスティクス等の数理モデルを紹介したかったのですが、需要がないと部下から却下されました。

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