皆さま、こんにちは。
以前も取りあげたことのあるテーマですが、水道債権についてもう少し検討してみましょう。
(少し難しいお話もありますが、あまり気にせずに書いていきます。)
水道債権は、私法上の債権ということで、時効期限到来後も相手方が支払いをしたら受け取れる能力(給付保持力)は少なくともある、ということでした。
この受け取れる能力は、判例によると信義則によるものですので、旧訴訟物理論の観点から厳密に考えると、時効期限到来前の債権とは訴訟物が異なるわけです。
そうなると、時効期限到来後の水道債権は、いったん不納欠損をしなければならないかどうかを、厳密な旧訴訟物理論から考えるのか、柔らかい旧訴訟物理論や新訴訟物理論から考えるのかで結論が異なってくることになります。
(このような訴訟法上の理論検討を行うと、実質的な債権の状況・意味が分かってきます。)
このような検討を経てはじめて会計上の貸倒引当金の話(単なる表現方法の検討)に入ることができることになります。
【ここからはお時間のある方だけ読んでください。】
いつもの話になりますが、その他の論点でも、会計で表現をする前に、実質的な検討をしなければならないことが沢山あります。
退職給付引当金⇒生命関数、年金積み立て方式の確率関数の組み方等
(会計業務支援者は、簡便法が原則であっても基礎的理論を把握する必要はあると考えます)
出資金と他会計補助金の区別⇒民法、会社法、消費税法
投資計画⇒基本的な確率関数、損保数理、モデリング…
例えば、経営戦略等を依頼する場合に、依頼先がこの辺りの実質的な検討事項に関する理論をどれだけ分かっているかということを調査することも重要と考えます。
(もちろん、弊社にも外部から見ると弱点や苦手分野があると思われますので、客観的に比較・判断してください。)