地方公会計・地方公営企業会計のスペシャリスト

株式会社顕成貫|地方公会計・地方公営企業会計のスペシャリスト

お問い合わせ・無料体験はTEL:072-807-4254

第3回 委託と委任

今回は、時々研修でお話させていただく「委託」と「委任」について記載していきます。

少し難しい部分もありますが、理解が必要な分野となります。

 

さて、「委託」と「委任」の区別はつきますでしょうか?

 

民法643条を見てみましょう。

委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」

 

世の中の行為を、委託と委任の観点から区分すると、2つの行為に区分できます。

 

「事実行為」と「法律行為」です。

「事実行為」とは草を刈る、紙に書く、等の事実としてなされた行為をそのままを表現したものですが、「法律行為」とは契約書紙面を記載する事実行為に、「契約する」という法律的な意味付けが持たせられるような行為のことを言います。

 

そして、「委託」とは事実行為を他者に依頼することであり、「委任」とは法律行為を他者に依頼すること、という区別があります。

 

さらに行政関連法規での委任は、ある特殊性を帯びます。

それは、委任者は元々持っている権限を失う、ということです。

 

例えば、法律行為である行政財産使用許可の権限を委任するとして、委任者と受任者の双方が許可権限を持つとすると、許可申請者はどちらに申請したらよいか分かりませんし、双方から異なる見解が示された場合にどのように対応してよいか分からなくなる等、申請者の立場が不安定になること等によります。

 

なぜ、このようなお話をするかと申しますと、委託と委任は、公営企業の代表的な書籍において、厳密な区別を意図して記載されている場合が多いからです。

 

例えば、「改訂 公営企業の実務講座(29)」(一般財団法人 地方財務協会)419頁を見ますと、次のような記載があります。

「設問のような場合…、一般行政事務にかかる権限を行使すると共に全く自己の権限として水道事業の管理者の権限を行使するものであるから、委任又は授権代理ということはない。」

 

この文章は、前述の知識がないと読めない記載となっています。

(この知識を活用しなければ、法適用にあたっての適切な例規改正や、現在の例規構成が正しいかの検討を行うことが難しくなります。)

 

公営企業の経営においては、時にじっくりと会計や法律を解釈することが必要となりますので、気になった事項や読んでもよく分からない事項は、できればその都度解決していくようにしましょう。

 

しっかり考えて身に着けた知識は、公営企業だけでなく、皆さまの将来における行政人としてのさまざまな業務分野で活きてくると思われます。

一覧へ戻る